近年、AI技術の進化は目覚ましく、特に画像生成AIはそのクリエイティブな可能性で多くの注目を集めています。その中でも「Midjourney」は、テキストから高品質な画像を生成する能力で、アーティスト、デザイナー、そして一般のユーザーまで、幅広い層に利用されています。
しかし、「想像通りの画像を生成する」というのは、一見簡単そうに見えて、実は奥深い技術と知識を要します。単にキーワードを羅列するだけでは、期待通りの結果が得られないことも少なくありません。Midjourneyの真の力を引き出すためには、効果的なプロンプトの書き方、様々なパラメータの理解、そして試行錯誤を繰り返す忍耐力が必要です。
この記事では、Midjourneyを始めたばかりの初心者から、さらに表現の幅を広げたい中級者まで、誰もが「想像通り」の画像を生成できるようになるための実践的なガイドを提供します。Midjourneyの基本的な使い方から、プロンプト作成の高度なテクニック、そして最新の機能まで、網羅的に解説していきます。さあ、あなたもMidjourneyで無限の創造性を解き放ちましょう。
Midjourneyは、Discordというチャットアプリケーション上で動作する画像生成AIです。そのため、利用を開始するにはまずDiscordのアカウントを作成し、Midjourneyの公式Discordサーバーに参加する必要があります。
/imagine)Midjourneyで画像を生成する最も基本的なコマンドは/imagineです。このコマンドに続けて、生成したい画像のテキスト説明(プロンプト)を入力します。
使用例:
/imagine prompt: a cat sitting on a bookshelf, cozy atmosphere, warm lighting, highly detailed
このプロンプトを入力すると、Midjourneyボットが数秒から数分で4枚の画像を生成してくれます。生成された画像は、Discordの「newbies」チャンネルや、自身のダイレクトメッセージ(Midjourneyボットとのプライベートチャット)で確認できます。
/imagine prompt:と入力し、続けて生成したい画像の具体的な説明を入力します。プロンプトは英語で記述するのが一般的です。これらのボタンを使って、気に入った画像をさらに高解像度化したり、別のバリエーションを試したりすることができます。納得のいく画像が生成されるまで、このプロセスを繰り返すことが重要です。
[^1]: Midjourney公式サイト: https://www.midjourney.com/
Midjourneyで「想像通り」の画像を生成するためには、プロンプト(呪文)の質が非常に重要です。効果的なプロンプトを作成するための基本的な考え方とコツを学びましょう。
プロンプトは、AIに何を生成してほしいかを伝えるための指示です。一般的に、以下の要素を組み合わせることで、より具体的で詳細な指示を与えることができます。
a cat, a futuristic city)sitting, flying)fluffy, vibrant, mysterious)photorealistic, oil painting, anime style)in a forest, on a spaceship)golden hour, neon light)close-up, wide shot, from above)highly detailed, 8k, unreal engine)これらの要素を組み合わせることで、AIが画像を生成する際の「手がかり」が増え、より意図に近い結果が得られやすくなります。
プロンプトに使用するキーワードは、AIが画像を解釈する上で非常に重要です。以下の点を意識してキーワードを選定しましょう。
最初は複雑なプロンプトを考える必要はありません。まずはシンプルなプロンプトから始めて、徐々に要素を追加していくのがおすすめです。
例:
a cat (猫)a fluffy cat (ふわふわの猫)a fluffy cat sitting on a bookshelf (本棚に座っているふわふわの猫)a fluffy cat sitting on a bookshelf, cozy atmosphere, warm lighting (本棚に座っているふわふわの猫、居心地の良い雰囲気、暖かい照明)このように、少しずつ要素を追加していくことで、それぞれの要素が画像にどのように影響するかを理解し、より効果的なプロンプト作成の感覚を掴むことができます。
基本的なプロンプト作成に慣れてきたら、さらに高度なテクニックを駆使して、より細かく画像をコントロールしてみましょう。ここでは、Midjourneyが提供する様々なパラメータや機能を解説します。
プロンプトの末尾に--(ハイフン2つ)に続けて特定のキーワードを追加することで、画像の生成方法を細かく調整できます。これを「パラメータ」と呼びます。
--ar <width>:<height> (アスペクト比): 生成する画像の縦横比を指定します。例えば、--ar 16:9は横長の画像、--ar 9:16は縦長の画像を生成します。--v <version> (バージョン): 使用するMidjourneyのモデルバージョンを指定します。最新のバージョン(例: --v 7)を使用することで、より高品質な画像が生成される傾向があります。--s <value> (スタイライズ): 画像の芸術的なスタイルをどの程度強く反映させるかを調整します。値が大きいほど、より芸術的で独創的な画像になります。デフォルト値は100です。--chaos <value> (カオス): 生成される4枚の画像のバリエーションの多様性を調整します。値が大きいほど、より多様で予期せぬ結果が得られます。0から100までの値を指定できます。--iw <value> (イメージウェイト): リファレンス画像を使用する際に、その画像がプロンプトに与える影響の強さを調整します。値が大きいほど、リファレンス画像に忠実な画像が生成されます。--no)画像に含めたくない要素を指定するためのパラメータです。--noに続けて、除外したいキーワードを入力します。
使用例:
/imagine prompt: a beautiful landscape --no people (人物を含まない美しい風景)
::)プロンプト内の特定のキーワードの重要度を調整する機能です。キーワードの後に::と数値を入力することで、そのキーワードが画像生成に与える影響を強めたり弱めたりできます。
使用例:
/imagine prompt: space::2 ship::1 (「ship」よりも「space」を2倍重要視する)
複数のプロンプトを組み合わせることで、より複雑な画像を生成するテクニックです。::で区切ることで、複数の概念を1つの画像に融合させることができます。
使用例:
/imagine prompt: a cat:: and a dog:: playing together (猫と犬が一緒に遊んでいる)
既存の画像をプロンプトに含めることで、その画像のスタイルや構図を参考に新しい画像を生成することができます。Discordに画像をアップロードし、その画像のURLをプロンプトの先頭に貼り付けます。
使用例:
/imagine prompt: [画像のURL] a portrait of a man in the style of Van Gogh (指定した画像のURLを参考に、ゴッホ風の男性の肖像画を生成)
--seed)Midjourneyは、画像を生成する際にランダムな「シード値」を使用します。このシード値を固定することで、同じプロンプトで常に同じような画像を生成することができます。過去に生成した画像のシード値は、その画像にリアクション(封筒の絵文字)を送ることで確認できます。確認したシード値を--seed <value>のようにプロンプトに追加することで、画像の再現性を高めることができます。
これらの高度なテクニックを組み合わせることで、あなたの創造性をさらに引き出し、まさに「想像通り」の画像を生成することが可能になります。
Midjourneyでは、プロンプトを工夫することで、生成される画像のスタイルや表現を細かくコントロールすることができます。これにより、あなたのイメージに合った芸術的な作品を生み出すことが可能になります。
特定のアーティストの名前や画風をプロンプトに含めることで、そのアーティストの特徴を反映した画像を生成できます。例えば、in the style of Van Goghやby Leonardo da Vinciのように指定します。
使用例:
/imagine prompt: a starry night over a modern city, in the style of Van Gogh (ゴッホ風の現代都市の星月夜)
また、特定の芸術運動やジャンルを指定することも有効です。impressionism, surrealism, cyberpunk, steampunkなどが挙げられます。
画像の雰囲気や視覚的なインパクトは、照明、構図、アングルによって大きく左右されます。これらをプロンプトに含めることで、よりドラマチックな画像を生成できます。
golden hour lighting, cinematic lighting, soft studio lighting, neon glow, backlightなど。close-up, wide shot, full body shot, dutch angle, low angle, high angle, rule of thirdsなど。from above, from below, eye-level shotなど。使用例:
/imagine prompt: a lone samurai standing on a mountain peak, cinematic lighting, wide shot, from below (山頂に立つ孤独な侍、映画のような照明、ワイドショット、ローアングル)
主役となる被写体やオブジェクトを詳細に描写することで、AIがより正確にあなたの意図を理解し、細部までこだわった画像を生成します。色、素材、質感、状態などを具体的に記述しましょう。
使用例:
/imagine prompt: a vintage red sports car, polished chrome, worn leather seats, parked on a cobblestone street, rainy day (ヴィンテージの赤いスポーツカー、磨かれたクローム、使い古された革のシート、石畳の通りに駐車、雨の日)
これらのテクニックを組み合わせることで、単なる「画像」ではなく、あなたの創造性が反映された「作品」をMidjourneyで生み出すことができるでしょう。
Midjourneyで画像を生成する過程では、時に期待通りの結果が得られないこともあります。しかし、それは失敗ではなく、改善のための貴重なヒントです。ここでは、よくある問題とその対処法、そしてより良い結果を得るための考え方を紹介します。
--s(スタイライズ)や--chaos(カオス)の値を調整してみましょう。--sを低くするとプロンプトに忠実な画像になりやすく、--chaosを低くするとバリエーションが少なくなり、より安定した結果が得られます。--noパラメータを使ってそれらを除外しましょう。例えば、--no textで文字の生成を防ぐことができます。Midjourneyでの画像生成は、まるでAIとの対話のようなものです。一度で完璧な結果が得られることは稀であり、何度も試行錯誤を繰り返すことが上達への近道です。
Midjourneyの公式Discordサーバーには、世界中のユーザーが日々画像を生成し、共有しています。他のユーザーのプロンプトや生成された画像を参考にすることで、新たな発見やインスピレーションを得ることができます。
これらのヒントを参考に、Midjourneyでの画像生成を楽しみながら、あなたのスキルを向上させていきましょう。
Midjourneyは常に進化しており、新しいバージョンや機能が定期的にリリースされています。最新の情報を把握し、それらを活用することで、より高度な画像生成が可能になります。
2025年には、MidjourneyのモデルがVersion 7(V7)にアップデートされ、人物の描写力やスタイル再現能力がさらに向上しています。V7は、よりリアルで詳細な画像を生成できるだけでなく、プロンプトの解釈精度も高まり、ユーザーの意図をより正確に反映できるようになりました。[^2]
新しいバージョンがリリースされるたびに、その特徴や最適なプロンプトの書き方を学ぶことが、常に最先端の画像生成を行う上で重要です。
これまでのMidjourneyはDiscord上での操作が主でしたが、Web版インターフェースも提供され始めています。Web版では、より直感的な操作が可能になり、Discordに慣れていないユーザーでも手軽にMidjourneyを利用できるようになります。Web版の機能は今後も拡充される予定であり、より多くのユーザーにとってアクセスしやすい環境が整っていくでしょう。
Midjourneyは、静止画の生成だけでなく、動画生成機能の開発も進めています。すでに一部のユーザーにはテスト版が提供されており、テキストプロンプトから短時間の動画クリップを生成する機能が実装され始めています。将来的には、より長尺で複雑な動画の生成も可能になることが期待されており、クリエイティブな表現の幅がさらに広がるでしょう。[^3]
Midjourneyの進化は止まることなく、今後も様々な新機能や改善が加えられていくことが予想されます。常に最新情報をキャッチアップし、新しい技術を積極的に取り入れることで、あなたのクリエイティブな可能性は無限に広がります。
[^2]: 【2025年最新版】Midjourneyとは?使い方・料金・活用事例を完全解説: https://note.com/fuku_k_marvel/n/n5021ebedea63
[^3]: Midjourney 最新ニュース(2025年7月31日): https://note.com/akisuke0925/n/n8222c020a3bd
Midjourneyは、テキストから驚くほど高品質な画像を生成できる強力なツールです。しかし、「想像通り」の画像を生成するためには、単にプロンプトを入力するだけでなく、その背後にあるメカニズムを理解し、様々なテクニックを駆使する必要があります。
この記事では、Midjourneyの基本的な使い方から、プロンプト作成の基礎、高度なパラメータの活用、スタイルと表現のコントロール、そしてトラブルシューティングのヒントまで、幅広く解説しました。重要なポイントを再確認しましょう。
--ar, --v, --s, --chaos, --noなどのパラメータを使いこなし、画像を細かくコントロールしましょう。Midjourneyは、あなたの創造性を無限に広げる可能性を秘めています。この記事で学んだ知識とテクニックを活かし、ぜひあなただけの「想像通り」の画像を生成してみてください。そして、AIとのクリエイティブなコラボレーションを存分に楽しんでください。